長かったバラナシでの生活も終わりになります。しめて3回うんこを踏みました。どれだけカッコつけて文章を書いても、ここでは笑いに変わります。さようなら、うんことシッコ…
バックパックを担ぎ、狭い路地をサヨナラと言いながら抜け、サイクルリクシャの誘いを振り切り、流しのオートリクシャに乗り込み(80Rsで駅まで行ってくれました)、駅前で寝転んだり座り込んでいる人が大勢いるバラナシ駅に到着。ザックを降ろし、時間まで待っていると、興味津々に珍しい日本人を皆凝視します。そのうちに、英語に自信のある教師の方が話しかけてきますが、所々発音がわからなくて、彼からもJAPANを何度も聞かれました。話していると、子供三人連れのファミリーや、お爺さんも集まってきて、話したそうにしていましたが、ヒンドゥー語ができないとわかったのか、英語がわかったのか、何処かに行ってしまいました。
お昼初の列車は予定通り出発。相変わらず北インド全てがガスに包まれて、天竺雰囲気を醸し出しています。
今回の車両は、前回に比べて綺麗でちょっと新しい感じです。窓の外も写真のようにギリギリ見えます。乗客も少なく、僕たちの前は空席でした。間も無くしてスズキでエンジニアをしている出張中の方が前の下段に座り、ポテトチップをご馳走してくれました。彼はラクナウで降り、そして怒濤の如く車両は満席になりました。晩飯を探しに別の車両を探検してみると、同じA/C 2TIERがもう一両あり、その向こうに三部屋の一等寝台があります。ちょっと覗いてみると、なかなかゴージャスなベルベット生地のシートが広く向かい合わせていて、家族や友人で貸し切りたい感じです。一方、A/C3TIERというエアコン付き三段寝台車両は、中国と同じく賑やかで、ゴミは散乱し密度が高いです。昔地獄を見たエアコン無し寝台を覗いてみると、楽しそうな雰囲気は無くなり、皆暗い表情。それもそのはず、窓は閉まらない所と空かない所があり、この時期は列車が走っているときの体感温度はかなり低く、ブランケットもありません。
食堂車はありませんが、厨房の車両があり、野菜カレーか卵カレーを届けてくれるそうです。野菜カレーを注文すると、トレーに四角いアルミホイルが三つと機内食のようなパックされた水を持ってきてくれました。ダルと野菜カレーとご飯とチャパティ。僕のインド料理のイメージ通りの唐辛子辛く素朴な味でした。僕たちは日本で食べるような高級なインド料理しか口にしていない事に気付きました。一般的なインド料理はレンズ豆を煮込んだ薄い味のダルスープと、野菜とニンニク生姜を炒め、スパイスをちょっと入れた簡素なおかず、安くてパサパサのバスマティ米とチャパティです。一般があまり裕福ではないインドの人々、野菜さえ豊富ではないので、豆とジャガイモと米が毎日の食事でしょう。冬の夜は薄い化学繊維のブランケットで身体を包み、虫やネズミと戦いながら身体を休め、凍死する人も少なくないでしょう。毎朝昇ってくれる太陽の暖かさに感謝して喜び、明るく元気に沐浴できる喜びを味わえるでしょう。夏は50度を超える日もあるそうで、エアコンはもとより、天井のファンさえ、いや電気さえ、屋根さえ無い家庭も多いでしょう。現実は見えないけど、ひしひしと伝わってきます。僕たちは分厚い毛布にフカフカのマットレスのベッドでも寒いからと、持参した寝袋でぬくぬくと熟睡するのが当たり前になっています。
向かいの席の大きなおじさんと、おばさんのイビキが、これまで聞いたことも無いような凄まじい音を出していて目が覚めました。さらに上、下、横、後ろから他の人のイビキがサラウンドで、負けまいと競って大きな音を出しているようです。極めつけに力を込めたオナラをお見舞いされ、それまでの怒りが一転して笑いに変えられました。
予定より4時間ほど遅れてデリーに到着。20時間ほど列車の中でしたが、バスより快適です。ニューデリー駅前のファーストフードで軽く食事し、メトロで予め予約していた空港横のユーロスターインターナショナルというホテルへ何事もなく到着。
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